● ツルの繁殖

ツルは一夫一妻制で一度ペアを組むと、通常は絆は一生続くといわれています。どちらか片方が死んだ場合などは、新たにペアを組み直すこともあります。また、繁殖年齢に達していないペアは、相手が変わることもあるとの記述もあります。 ダンスやディスプレイなどで、絆を強固なものにします。
繁殖地では、まだ繁殖年齢に達していないツルたちは集まってグループで行動し、繁殖が可能なペアは産卵します。
約3~5歳から繁殖が可能となるそうです。

所蔵 クレインパーク出水

繁殖地では、産卵が近くなると巣を湿地や草原の地上に作ります。
中島や水路で囲まれた人や獣が近づけないような場所が選ばれます。
材料は、普通ヨシや植物の茎や葉を積み上げて作ります。
湿地では、水かさが増えると新しい材料を足して巣を高くします。
巣作りは、オスメスともにします。

所蔵 クレインパーク出水

交尾をし受精すると、巣のくぼみに産卵をします。直接地面に産卵することもあるそうです。
一腹普通2個(まれに1~3個)の卵を産みます。
産卵は48時間ごとで普通は1卵から抱卵し、2日間隔で生まれます。
雄雌ともに交代しながら抱卵します。
ツルの種類によって、卵が孵る日数は変わります。
また、親がどれだけ巣にいて抱卵できたかによっても変わります。
27~40日ほど抱卵すると、ヒナが孵ります。
卵から孵る2~3日前から卵の中でぴよぴよ言っていて、親と声でのコミュニケーションが行われていると考えられているようです。
初めて見た大きくて動くものを親と認識します。(刷り込み)

ヒナの体は、幼綿羽でおおわれています。
ヒナは早成性で孵化した日から歩きます。危険が迫れば泳ぐこともできます。
ヒナは、秋までの間に幼綿羽から少しずつ幼鳥の羽に生え替わっていきます。

飛び始めは少なくとも生まれてから10週かかり、完全な飛行は3~4ヶ月かかります。
飛べるようになると、幼鳥と呼ばれるようになります。
親はオスメスともに4ヶ月以上ヒナの世話をして、翌年の繁殖直前まで家族生活を送ります。
繁殖期の初めに子供を追い払い、子離れをして若鳥は若鳥の群れをつくり生活します。

● ツルの食

ツルは雑食性です。
種類や住んでいる場所によって、食べものが少しずつ違います。

出水に来るツルが出水で食べているものは、給餌の小麦・イネの二番穂・クログワイ・ミミズ・ドジョウ・ゴミムシ類・カエル類などです。
給餌されている小麦などは、一粒ずつクチバシでつまんで食べます。
草や球根、2月から荒崎で与える魚を、水たまりの水で洗って食べたりします。
農家の方が畑に植えた麦や麦の芽、空豆の芽、ジャガイモの種芋などをつつくこともあるそうです。

● ツルの寝

出水では夕方遅くなってから、ツル保護区のねぐら近くにツルが戻ってきます。しばらくは羽づくろいや食餌をして過ごし、それから水の張ってあるねぐらに移動して寝ます。
外敵である獣などが入り込んでも波紋などで気づくことができるように、水の中で寝ます。

頭は羽の中に入れて足は片足で立ち、もう片方の足は折り曲げ羽の中に入れて風上に頭を向け、危険が迫ったときにはすぐに飛び立てるようにして寝ます。
体温保持のため、一本足で寝ると考えられています。

朝はとても早起きで、日の出前からツルの声がすることがあります。
薄暗い中、家族単位で飛びたちます。

● ツルの水浴び

羽の性能を保つために、ツルは水浴びをすることがあります。
天気が良くて暖かい日の午後1時ぐらいから3時頃まで、水のたまった場所で座るような格好や背中をつけるために体を回転させる様にして水浴びをします。
その後は羽ばたいて水を飛ばし、丁寧に羽づくろいをして羽を乾かします。

● ツルの遊

風に乗る

風の強い日、一羽が翼を広げてふわふわ飛んで遊び出すと、辺りにいたツルたちもつられて風に乗って遊び始めます。

ダンス

相手の周りを走りながら羽を広げて羽ばたきをして、首を曲げたり伸ばしたりします。もう1羽は相手の方を向いて首が伸びているときには曲げて、曲げているときには伸ばしといった風に反対のポーズをします。

その場で、ぴょんぴょん跳んだりもします。

ダンスの途中に、稀にその場に落ちていた藁をくわえて跳びはね、空中で放り投げたりもします。

他のツルにつられて1羽でもダンスをすることがあります。

ケンカ

縄張り争いなどの時、ディスプレイ等をして自分の強さを示しますが、どちらもひかない場合ケンカになる時もあります。
足で蹴ったり、クチバシで突こうとしたり、自分か相手がひるんでその場から逃げ出すまでケンカになることもあれば、そのまま相手との微妙な距離を保ちつつその場所で過ごすこともあるようです。